僕は、日本人であり、アメリカ人です。ほとんど日本で育ったので自分の事は完全に日本人だと思っていますが、僕はかなり「日本人離れ」した見た目なので、周りの人は結構、僕のことをアメリカ人として扱います。そのことによって初めて、僕は自分がアメリカ人であるという事を実感します。僕らは何者かにされ、初めて何者かに「なる」。それは、自分が何者で「ある」かとは関係がない。

今、アメリカという国では色々なことがうまくいっていません。日本という国も、かなりうまくいっていないと思います。そのうまくいっていなさは、根本的に繋がっている。現実のアメリカや日本を変えるのはとても難しいし、時間がかかります。けれど、僕らだけの間で、こっそりとアメリカを作り変えることは、実は難しくない。何者かをアメリカにし、その我々の知るアメリカでない姿を投影しさえすれば良いのです。

「NOT IN KANSAS」は、以前抗原劇場で上演された「Not In Kansas」という作品のリクリエーションです。前回は、僕が考えるアメリカの病理を描きました。けれど、今回はもっと様々な人にとっての「アメリカ」について考えたい。そのために、僕がこれまで出会った様々な作家たちに、「もう一つのアメリカ」というテーマでテキストの執筆を依頼しました。様々な言語で、様々な言葉で紡がれるもう一つのアメリカ。その言葉と向き合う身体。その身体から浮かび上がる「私たちの／ための／による」アメリカ。

ー山田カイル（ 構成・演出）

ドラマトゥルク。抗原劇場主宰。1993年テキサスに生まれ、その後青森で育つ。「翻訳」への関心を元に、 複数の言語や文体を行き交う身体の実験を続けている。現在、埼玉県蕨市の民家、旧加藤家住宅にて、様々 なメディアと「文体」の関係を探るオムニバス企画「シリーズ：劇的文体論」をプロデュース。また、横浜の民間アー トセンター、若葉町ウォーフのアシスタントプロデューサーとして、アジアの舞台芸術実践者のコミュニティ形成に 取り組んでいる。

 日時：

10月10日（木）20:00☆

10月11日（金）20:00☆

10月12日（土）13:00／19:00☆

10月13日（日）13:00／17:00☆

※開場は開演30分前

☆沖縄県民割対象公演　

料金：（全席自由席・日時指定）

一般前売：2,000円　当日：2,500円

U２２割：1,000円（22歳以下、全公演対象）

沖縄県民割：1,000円（夜公演のみ対象）　 

チケット予約・問合せ：

WEB：専用フォームにて受付中　

　　　※U22割、沖縄県民割ご利用の方はフォーム内備考にその旨ご記入ください。

Mail：info@allergen-theatre.com

【関連企画】抗原劇場ワークショップ「週末トラゴデイア」

沖縄の皆さん、初めまして。抗原劇場主宰の山田カイルと申します。

今回、銘苅ベースでの公演「NOT IN KANSAS」にあわせて、劇場でのWSを企画させていただきました。僕は演劇を作るとき、非常にローカルなもの（コロンバインの銃乱射事件とか、シベリアアイヌの狩猟祭祀とか）を引用することで、普遍的なものを上演しようと試みています。僕らの目の前の生活や、そこに起こる事件を解きほぐしていくと、必ず「人間なら誰しもこうなのではないか」というレベルの思考に至る事ができると思っています。

「トラゴデイア」というのはギリシャ語で「悲劇」という意味です。僕らのよく知る “Tragedy”という単語の語源ですが、実は元々「悲しい」とかそんな意味は全然なくて、トラゴデイアというのは「山羊の歌」という意味です。ギリシャでは、どうやら演劇は山羊の歌をうたうところから始まったらしいのです。

今回のWSでは、「山羊の歌をうたう」という古代ギリシャのすごく具体的な文化について考えることから、東洋の端っこに住んでいる僕らにもアクセス可能な何かを作ってみたいと思います。そして、是非作品も観ていただいて、「NOT IN KANSAS」という作品の背景や意図を、体感していただけたら嬉しいです。

進行：山田カイル（演出家・ドラマトゥルク）

日程： 10月12日（土） 10:30〜12:15 

　　　 10月13日（日） 10:30〜12:15 の全２回。WS内容は日により異なります。

場所：アトリエ銘苅ベース

参加料金：

・公演をご覧になる／なった方→無料

・公演をご覧にならない→ 500円

参加方法：各回の前日 23:59までに、メールにてお申込ください。

宛先：info@allergen-theatre.com

件名：「銘苅ベースWS」

記載事項：お名前、参加を希望される回と電話番号